ぜひ読んで欲しい、東日本大震災本「巨震激流」
あの東日本大震災の3月11日から、5ケ月ほど経過しました。
だんだんと被災地関連のニュースや話題が少なくなったなぁと感じるこの頃です。
そんな状況ですが、改めて「東日本大震災」という未曽有の自然災害を忘れて欲しくない……という想いで、1冊の本を今回は紹介させていただきます。
当ブログの基本主旨とは異なる「東日本大震災」というテーマについての内容なので、興味がある方のみ、続きからどうぞ。
紹介させていただくのは、地元新聞社「三陸新報社」から発行されている下記の1冊です。
![]() | 「巨震激流 3.11東日本大震災」 大型本: 172ページ 出版社: 三陸新報社 (2011/7/23) ISBN-10: 4990592700 ISBN-13: 978-4990592707 |
※現在Amazonでは、出品者からの販売扱いになっていますが、出品者=出版社の三陸新報によるもので、送料も無料でAmazonから配送になっている商品です。
この本はそのタイトルにかかる「巨大な地震と大きな津波」をテーマに絞った内容となっています。
いくつか「東日本大震災」に関連する本を購入しましたが、それらの本では「原発事故」も含めた総合的な災害本となっていたり、本によっては「東日本大震災ネタでとりあえず出版してみた…」的なものもあったりしますが、この本は違います。
今回の震災で初めて被災地にいって取材した記者たちの記事ではなく、災害前から現地にいてその場で日常の話題を届けていた記者たちによる「東日本大震災を日常として報道せざるを得なかった記者たちによる、震災=日常の記録」なので、その内容はより深いものがあるかと。
原発事故の人災的な要素を抜かした、本来の意味での災害。自然の脅威。
巨大地震と大津波が人々の暮らしにどんな影響を与えたのか、自然の力がどれほど恐ろしいものなのかがよくわかる1冊です。
三陸新報にて災害直後から連載された記事、「巨震・激流 その時記者は…」を再録し、新たに写真等もつけて構成されたのがこの本です。
「津波で壊滅的な被害を受けた~」と報道される、宮城県気仙沼市・南三陸町が対象と範囲が絞られているのも特徴です。
構成は
津波襲来
巨大な津波に見舞われた宮城県気仙沼市、南三陸町の写真の数々
その時記者は…
新聞に連載された、地元記者たちによる震災の時の記録の連載記事の再録
爪痕
波が去ったあとの被害の模様の写真の数々
使命遂行
市長、町長や警察、消防、海保等のトップらによる3.11のあの時の話
その時---72人の証言
3.11の時の人々の証言。
下は8歳、上は75歳までの老若男女による、「現地の生の声」
救助・捜索活動
自衛隊や消防の救助や捜索の模様の写真
三陸新報号外・特別号
震災直後からの三陸新報社が発行したものの再録
一部端折ったところもありますが、このような構成になっています。
想像ではわからない被災地のむごさを伝える写真も豊富に掲載されていますが、特に注目して頂きたいのは「その時---72人の証言」です。
なぜ、72人という半端な数の証言なのか……という疑問の答えは本紙にあります。
『72時間は人間が飲まず食わずで生きられるギリギリの時間』とのこと。
72人の老若男女が経験した、3月11日のあの日の話を知ることができます。
あの日、あの時、なにが起こったのか、どんな経験をしどんなことを思ったのかが、被災した人々によって生々しく表現されています。
どこで、どのように災害にあったのか。
72人の老若男女それぞれの「あの日のストーリー」を読んで欲しいなと。
他にも津波が何を奪ったのか、どれだけの被害が出たのかが写真で生々しくわかります。
自然の脅威の前に、人間がどれだけ無力なのか、自然の力がどれほど恐ろしいのかが分かってもらえるかと。
今回の写真は、津波襲来中→津波痕。という構成の写真ですが。
私の場合、津波前の状況→そしてこの本に掲載されている写真→現状の復興の様……と目にしているので、掲載されている写真の衝撃はより大きいものですが、被災前の状況を知らない人でも十分衝撃的な写真だと思います。
ちなみに、地元市の死亡者は、現在 1,004人。行方不明者は409人。
遺体が発見されたので「死亡者」としてのカテゴリには入れられましたが、死亡者1,004人の内、124人は「身元不明」で帰る家がわからないそうです。
身内が生きていて遺伝子検査に回せる検体を提供できていれば身元が判明するかもしれませんが、一族や一家総出で津波で流されて死亡していた場合には、身に着けていた着衣等もなく性別すら判別不能状態も数多いので、そのまま身元不明とのこと。
また、この本には掲載されていませんが、8人家族で7人が死亡・または行方不明でたった一人生き残った女子高校生(17)などの災害犠牲者もいます。
原発という、もう一つの災害も同時に発生したため、自然の脅威への注目が弱まってしまった感も残念ながらありますが、改めてこの本を読んで「自然災害の脅威」を知っていただけたらなと思います。
今回ISBNコードまで掲載したのは、出来ればこの本を皆様が使用する図書館に置いて欲しいなと思ったからです。
大概の図書館には、購入をお願いするリクエストカードなるものがあるかと思います。
それでこの本をリクエストして、より多くの人に読んでもらえるように図書館に置いて頂けたらなぁと思ったので、リクエストがしやすいようにISBNコードを掲載してみました。
全国紙ではなく、地方新聞の発行なのでなかなか書店では目にすることが出来ないかもしれませんが、もし良ければ手にとって見てみていただきたい1冊の紹介でした。